よほど変わった人でない限り、旅行が嫌いで行ったことがないという人はまずいないでしょう。連休があれば何に使いたいですか?という質問に対して「旅行」という答えは今も昔もダントツのトップです。それだけ旅行に対する需要は表に見えているもの、見えていないものを含めてとても多いことが分かります。それだけ市場の大きなトラベル業界なので就職先の選択肢も広く、一生の仕事にするという意味ではとても有望な業界だと言えるでしょう。 数あるトラベル系職種の中で、今回はツアープランナーにスポットを当ててみたいと思います。
トラベル業界に就職するには、何よりも即戦力となるスキルとホスピタリティを身に付けることが大切です。
ツアープランナー=「旅行の企画者」?
ツアー=旅行、プランナー=計画(企画)者なので、ツアープランナーとは旅の企画をする職業という意味です。旅行を企画する職場と言えば、旅行代理店が筆頭格ですが、それ以外にもフェリーや鉄道やバス、航空会社など運送機関の旅行企画部門も有望な就職先です。
こうした職場でツアープランナーが取り組んでいるのは、文字通り旅行の企画です。私たちは何気なく旅行会社が主催しているツアーに参加して旅行を楽しんだりしていますが、そのツアーもどこかのツアープランナーが企画した旅行なのです。
旅行には企画段階でのプロセスがいかに大切か、旅の計画をすべて自分でやってみるとよく分かります。友人たちと定番の観光地へ旅行する予定を立てたとすると、まずはその観光地に向かう移動手段の予定を立てます。そして観光地に予定通り行ったとします。問題は、そこからなのです。目的をある程度果たした後、何かもの足りないと感じたり、「それで、どうする?」となってしまう、あるいは一緒に行った友人の中で一部のメンバーだけが楽しんでいて、一部は興味がなさそうに観光地でぼんやり過ごしている。その原因はバランスが合っていないからです。もの足りないのは旅行内容と旅行期間の不具合、旅行の企画不足で時間が余ってしまったわけです。
ある意味これは贅沢なことですが、せっかくの旅行が間延びした感じになってしまって、楽しさが半減した、ということはありませんか?もちろん、この逆で時間が全く足りない旅行計画というのもバタバタするだけで、旅行が終わった後で疲ればかり残る。そして同行者が退屈そうならばメンバーの趣味や好みにマッチする観光地ではないから。旅行に行く人についてのリサーチ不足・・・やはり企画としては力不足だったことになります。
ツアープランナーは、どういったお客様が自社ツアーを利用するのか、興味関心の対象も加味した上で目的地を選定し、魅力的な旅行を企画するのです。その上でこうした旅行の計画を時間軸で計算し、どのタイミングでどこにいて、そこで何をするかという細かい部分まで企画を落とし込んでいるのです。私たちが何気なく参加したツアーでうまく時間にはまり込んだ楽しみ方ができているのは、ツアープランナーの仕事が成功しているわけです。
ツアープランナーになるには?必要なスキルは?
ツアー企画に必要なのは、その目的地に関する詳しい情報です。しかし、こうした情報はある程度調べれば分かることです。しかもツアープランナーにはそれぞれの担当地域が割り当てられるので、その地域のことは仕事を通じてかなり詳しくなっているはずです。よって、就職する前に個別の目的地について詳しくなっておく必要はそれほどありません。
それよりも強く求められることの一つが、「提案力」です。つまり参加者のニーズやウォンツに応えられる(目的地を設定できる)かどうか。例えば、修学旅行に行くのにショッピングや自由行動ばかりでは、学びの要素が感じられず、学生方や先生方に喜んでもらえません。目的地に到着するだけではなく、そこを訪れることで満足感を感じてもらうことが必要だからです。そしてもう一つ求められることは、「伝える力」です。プランニングという作業は企画しただけで終わりではなく、企画を伝えなければなりません。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力も含めた「伝える力」はツアープランナーにとって非常に役立つスキルと言えるでしょう。
こうしたスキルについては天性のものだと思っている人も多いのですが、実はそんなことはありません。プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力は学生時代に鍛えることが十分できる能力です。こうした能力はツアープランナー以外の職種でも広く通用するスキルです。
少し想像していただくと分かりますが、IT 企業の社長などが新しいプロジェクトや新サービスなどを説明する際に一人で上手に説明している光景を目にします。これはまさに「伝える能力」が発揮されている場面で、こうした能力を持っている人が企業経営者など成功者に多いことは明白です。
大阪ホテル・観光&ウェディング専門学校でもこうした能力をかなり重視しており、これらのスキルを磨くカリキュラムを採り入れています。理由は簡単で、ツアープランナーとしてだけでなく社会人として広く通用して自分を助けてくれるスキルだからです。
ツアープランナーの面白さと難しさ
ツアープランナーとして働いていくにあたって、その面白さは何と言っても自分の企画が通って、そのツアーが催行された瞬間です。
自分が企画したツアーが販売され、そこに参加したお客さんが旅行を楽しんでいる光景を想像して思わず顔がニヤけてしまう人は、ツアープランナーの素質十分と言えるでしょう。
また、最近では旅行カウンターの窓口業務の幅が広がっていて、窓口でお客様と話をしながらオーダーメイド式にツアー計画を組み立てていくことも。デスクに向かって黙々と仕事をするだけではなく、持ち前のサービス精神を発揮して感動のお手伝いができるというのも、旅好きならたまりませんよね。
一方で憧れのツアープランナーになったとしても、その仕事の難しさに直面することもあります。一番の難しさとして挙げられるのは、企画に対する制約が意外に多いこと。自分の旅行を企画するのであれば好きなプランを立てれば構いませんが、ツアープランナーとしてプロの仕事をするためには、その旅行企画でしっかり利益を出さなければなりません。
「大人の事情」でどうしても盛り込まなければならない企画や立ち寄らなければならないスポットがあったりで、思い通りにならないこともあるでしょう。そういった諸事情をしっかりと組み入れながら参加したお客さんにも楽しんでもらう。そこにツアープランナーのプロとしての能力が求められているのです。