ディスパッチャーとは
航空機が安全に飛行できるように、計画と監視を行う地上のパイロット。
ディスパッチャーとは、航空業界において「運航管理者」とも呼ばれ、航空機が安全に効率よく目的地まで飛行できるように気象情報などあらゆる情報を分析し計画を立て、飛行中も運航を監視し、地上からサポートする仕事です。目的地までの飛行ルートをどう選択するか、ディスパッチャーの判断ひとつで運航の安全やスケジュールが左右されるため、大きな責任が求められます。ディスパッチャーは「地上のパイロット」のような存在です。
ディスパッチャーの主な仕事内容

飛行計画から着陸まで、機長と連携して航空機の運航を支援する。
ディスパッチャーの仕事は、フライトプランを作成し、航空機が離陸して目的地に着陸するまでモニタリングすることです。いずれも機長との連携が欠かせず、最適なプランや解決策を提示しながら、地上から航空機の安全な運航を支援します。
一便ごとにフライトプラン(飛行計画書)を作成します。雲や風といった気象状況や、目的地の風向きや風速、滑走路など空港施設の状況、乗客や貨物の重量など、運航に関わるあらゆる情報を収集します。それらの情報をもとに、飛行ルートや高度の選定、燃料搭載量の算出、代替着陸空港の決定を行います。機体の揺れがより少ない経路を選ぶなど、安全性、定時性、快適性などに配慮した飛行計画が求められます。
航空機が離陸後は、安全に目的地に着陸するまで、フライトプラン通りに問題なく運航しているか、運航にトラブルはないかをモニターで監視します。天候や風の状況は刻一刻と変化するため、例えば天気の急変で雨雲の発生を確認した場合は回避ルートを誘導したり、着陸空港で強風の発生が予測された際は上空待機の指示をしたりします。
フライト前に、作成したフライトプランを機長に提出して説明(ブリーフィング)を行い、機長が承認することでそのプランが最終決定します。飛行中は、必要に応じて無線やテキストメッセージを使用して機長と連絡を取り合い、例えば急病人の発生などで急遽フライトプランの変更を行う際は、残存燃料や気象状態などあらゆる状況から、出発空港への引き返し(ATB)やダイバートなどを手配し、機長に伝えます。
ディスパッチャーになるには

航空会社に入社し、運航支援業務の経験を積んで国家試験に合格する。
ディスパッチャーになるには、航空会社や運航管理業務を行う専門会社に入社して、「航空無線通信士」の資格を取得し、ディスパッチャーの補助業務を2年以上経験する必要があります。その後、国家試験である「運航管理者技能検定」に合格し、その後も業務を続けて社内審査に合格することで、正式なディスパッチャーとなります。
必要なスキルや知識
フライトプランの作成や運航中の監視には、気象や航法などに関する正しく深い知識のもと、膨大な情報を収集して、的確に分析する力が必要です。天候、航空路、機材状況など、リアルタイムで変化するさまざまな要素を総合的に判断し、運航に影響を与える情報を見極めます。
例えば、燃料の搭載量が増えるほど、機体は重くなり燃費が悪くなります。しかし、航空機が着陸する時間に天候が悪くなると予測が立っている場合は、上空で天気が回復するまで待機できるように燃料を増やす選択をすることで、燃料切れを起こして出発空港に引き返さずに済むことも。急に状況が変わる場合にも同様に、すぐに最適な対応策を導き出して決定する力が求められます。
ディスパッチャーは責任のある仕事ですが、独断で行う仕事ではありません。パイロット、客室乗務員、運航支援者、航空管制官、グランドスタッフなど、多くのスタッフと連携しながら業務を進めます。緊急時は特に、迅速に正確な情報を共有してコミュニケーションを密にとり、安全な運航を支えます。
ディスパッチャーの資格・試験情報
「航空無線通信士」「運航管理者技能検定」の資格が必要。
ディスパッチャーになるために必要な「運航管理者技能検定」は、21歳以上であること、操縦・空中航法・気象業務・機上での無線設備の操作・航空交通管制の業務・運航管理者の補助業務のいずれかのうち、1種類を2年以上もしくは2種類をそれぞれ1年以上実務経験があること、「航空無線通信士」の資格があることが必要になります。
- 航空従事者技能証明等学科試験 公式サイトはこちら
ディスパッチャーのやりがい
地上から航空機の安全を支える、責任感と達成感。
ディスパッチャーのやりがいは、地上から航空機の安全運航を支える責任感と達成感にあります。自分が計画したフライトプランで、多くのお客様や、パイロットや客室乗務員などの仲間を乗せた航空機が安全に目的地へ到着した時、喜びを実感することができます。特に、悪天候やトラブルなどの難局に、パイロットや管制官、整備士など多くの専門職と緊密に連携しながら冷静かつ迅速に対応し、無事に運航を完了させた際には、チームで乗り越えたという充実感も得ることができます。さらに、国際便では多様な航空事情に触れる機会も多いので、グローバルな視野を持ちながら成長できる点もやりがいの一つになるでしょう。