ハウスキーピングとは
ホテルの客室を清潔に保ち、お客様に快適な空間を提供する仕事
ハウスキーピングとは、ホテル業界においては客室の清掃や整頓を通して、お客様に部屋で快適に過ごしていただく仕事のことを指します。ハウスキーピングという言葉はホテル業界以外でも使用されます。一般家庭の家事代行サービスを指すこともあれば、IT用語としてコンピューターシステムを長期運用する際に溜まる不要なファイルやデータの削除や移行を指すこともあります。また、細胞の基本的な機能を維持するために発現する遺伝子はハウスキーピング遺伝子と呼ばれます。この記事では、ホテルや宿泊施設に必要不可欠であるハウスキーピングの仕事を紹介します。
ハウスキーピングの主な仕事内容
清潔で整頓された、気持ちの良い空間づくりを行う。
ハウスキーピングの仕事は、基本的にチェックアウトからチェックインまでの間に行います。宿泊施設によって内容に違いはありますが、客室の清掃や備品を交換して、清潔で整頓された状態に仕上げることが主な業務です。宿泊客の忘れ物などが出てくることもあり、その場合は適切に管理します。作業が終了した客室に入り、清掃が行き届いているかを点検する業務（インスペクション）も行います。
部屋全体の掃除機がけや拭き掃除、洗剤を用いた水回りの洗い流し、リネン類やゴミの回収、拭き上げなどを行います。床に髪の毛やホコリ、水回りに水滴が残っていると、次にその部屋を使うお客様は不快に感じてしまうので、念入りに行います。また、ニオイの除去も重要な項目です。タバコ、カビ、体臭、香水、食べ物など、部屋ではさまざまなニオイが発生します。換気や消臭剤、脱臭機などを使用して取り除きます。
使用済みのマットレスのシーツや、掛け布団や枕のカバーなどを新しいものに取り替えて、美しくセットします。ベッドの仕様、使用しているシーツのタイプ、寝具の種類などで、ホテルによってベッドメイクの方法や最終仕上がりは異なりますが、シワのない状態に整えることが基本です。
シャンプーやハンドソープ、歯ブラシ、カミソリなど水回りで使用するアメニティ類の補充、コーヒーや紅茶パック、ミネラルウォーター、有料ドリンク類などの補充、タオルやパジャマ、スリッパの取り替えなどを行います。消耗品類だけでなく、部屋のライトやエアコン、冷蔵庫、テレビ、電話、ドライヤーなどが問題なく動作するかの確認も重要です。備品の発注管理を担当することもあります。
ハウスキーピングになるには
手際の良さと細部にわたる気配りが重要。
ハウスキーピングになるには、ホテルなど宿泊施設に就職することが一般的です。ホテルの専門学校では、授業やインターンシップなどでハウスキーピングの実習を行うことがあるので、就職前に業務を体験することができます。限られた時間内で手際の良い作業が求められる一方で、丁寧かつ細部にわたる気配りが欠かせません。
必要なスキルや知識
チェックアウトからチェックインの時間内で多くの部屋を担当するため、一部屋あたりにかける時間は限られます。時間配分を行い、スピード感を持ってテキパキと動き、複数の作業を効率的に進める工夫をすることが大切です。立ち仕事で身体を動かし続け、重いものを運ぶこともあるので、日々の身体ケアや健康管理を行い、体力を維持することも必要です。
小さな汚れを見逃さない注意力が重要です。一方からは綺麗に見えていた部分も、別の角度から見るとゴミが残っている場合があります。視野を広げて細部まで隈なく観察する力が求められます。
「お客様に快適に過ごしていただきたい」という気持ちがあれば、備品の置き方一つでもより取りやすい角度に配置するなど変わります。マニュアル通りにすることが前提ですが、お客様の立場に立ったほんの少しの心配りが、ハウスキーピングとして質の高いサービスを提供することに繋がります。
ハウスキーピングの資格・試験情報
必須資格はなく、現場での積み重ねでスキルは磨かれる。
ハウスキーピングになるために必要な資格はありません。手際の良さと丁寧さを両立させて、いかに早く美しく仕上げられるかは、日々の業務の中で積み重ねられます。ホテル関連の資格を取っておくと、ホテルスタッフの一員としての技能の証明となります。
ハウスキーピングのやりがい
ハウスキーピングの仕事が、お客様の客室への満足度に直結する。
客室の清潔さや快適さは、宿泊客のホテルに対する満足度に大きく影響するため、ハウスキーピングはホテル内で重要な役割を担います。「快適に過ごせた」「清掃が行き届いていた」などのお客様からの声は、ハウスキーピングへの感謝や賞賛であり、やりがいを感じることができるでしょう。お客様と対面してコミュニケーションをとる機会は少ないですが、技術や心配りでおもてなしを表現することで自信や喜びに繋がる、プロフェッショナルな仕事です。
