エアライン就職で必ず一度は気になるのが、就職と容姿、身長との関係です。特に花形とも言われる CA(キャビンアテンダント=客室乗務員)の場合、働いている人を見ると制服着用時の統一感の美しさや凛とした姿から、採用にあたっては容姿がかなり選考に影響を与えそうだと感じる理由になっています。 当然ですが、航空会社は表向きに「容姿端麗な方を優遇」などを採用条件としてはいません。表向きに認めていないからといって、基準が存在するのでは・・・という憶測が余計に広がるのも事実で、結局どうなのか分からないという意見が多く見られます。 実際のところ、エアライン就職と容姿・身長には密接な関わりがあるのでしょうか?その真偽について業界通の目線で述べてみたいと思います。
エアライン業界に就職するには、何よりも即戦力となるスキルとホスピタリティを身に付けることが大切です。
身長の基準が公式にアナウンスされている理由
航空会社の多くが CA の採用に身長の条件を設けています。よく見られるのは、「身長 160cm 以上」というもので、これには理由があります。
最大の理由は、頭上にある物入れに手が届く必要があるからです。乗客の多くは自分で荷物を入れますが、中には背が低い人や高齢の人など、自分で荷物を入れることができない人もいます。そんな人のために CA は荷物を頭上の物入れに収納するわけですが、その時に荷物が正しく収納され扉がきちんと閉まっているか確認するため、身長 160cm 以上という基準は安全面でも必要な基準となっています。
ちなみに、この「頭上の物入れ」は航空業界ではオーバーヘッドコンパートメント、またはオーバーヘッドビンなどと呼ばれており、乗客の荷物を入れるだけでなく非常用の各種備品も入れられているので CA がそこに手が届くことは荷物の事情以外でも重要なのです。
最近では身長を気にしなくても良い航空会社も増加
これだと、身長が 160cm に満たない人は CA への道が完全に閉ざされたように感じますが、実際にはそんなことはありません。例えば数センチ足りないだけで、その人がぜひ採用したいような魅力ある人であれば、航空会社は身長に関係なく採用します(注釈:国によっては明確な基準が設けられており満たしていることが絶対条件になる)。
ただ、それは数センチという誤差の範囲内であることが多いようです。10cm 以上身長が足りないとなると、業務に支障をきたすため、この場合はエアライン就職の中でもグランドスタッフなどの道を探ることになりそうです。
しかし、最近ではこの身長についてもあまり気にしなくても良い状況が生まれてきました。国内の場合は CA の健康を守るため、機内にフットステップが標準装備されている飛行機が増えているからです。
フットステップは座席の横にさりげなく取り付けられていて、CA はそこに足を乗せることで身長が足りなくても物入れに手が届き、乗客の荷物を出し入れしたりすることができます。また大型機は退役し、中型機や小型機へと使用機材の変化により、身長制限に関係なく活躍する CA がぞくぞくと誕生しています。
最も気になる「容姿との関係」
次に、身長よりも多くの方が気にするエアライン就職と容姿の関係です。こればかりは身長のように数値化することができず明確な基準がないので、何とも言えない部分があります。
実際に飛行機に乗っている時、どこにでもいる近所のお姉さんのような人が CA として活躍している姿を見かけたことがあります。これは主観による部分が大きいので一概には言えないのですが、むしろ容姿よりもその人自身の雰囲気や話しかけやすさなどが重視される傾向があるので、見るからに品の良さそうな人や人柄の良さそうな人が多いというのは確かです。こうした身のこなしや品格というのは容姿とは直接的な関係がなく、意識次第で身につけることができるという意味ではフェアだと思います。
容姿と人物像、どちらをとるか
結局のところ、そこでファッションショーをやるわけではなく、航空会社としては CA にプロフェッショナルとしての仕事を求めているので容姿だけを審査しているわけではないのです。
結論として言えるのは、容姿だけで勝負する世界ではないので CA に必要なスキルや立ち居振る舞いをしっかり身につけて臨むことの大切さです。いくら容姿端麗でも CA となるための資質や身のこなしを備えていない人は採用されません。容姿が必ずしもずば抜けて美しいというわけではなくても、清潔感のある身だしなみと美しい言葉づかい、所作(しょさ)はお客様からの信頼を得るための大切な能力です。また、明るさや元気さ、優しい笑顔はお客様から親しみを持っていただくのに必要でしょう。CA は人と接する仕事なので、今では容姿以上にこういったその人にしかない人柄という「能力」が重視されているのです。
華やかさと地道さが同居する CA 職ですから『人物重視』で見極められるというのが、今時のエアライン就職なのです。